「アペフチ」 ～杉田明十志人形集 第一集～ １０
10「アペフチ」（17cm 1992）
「……火の神は赤い小袖を着、赤い鉢巻きをし、金の杖を持つ老婆の神で、一般にアベフッチ*（火のお婆さん）と呼ばれているのは、祖母の懐のように温かく人間を愛しみ育てるからである。……人間は何か願い事があると、先ず何より先に、この祖母神である火の神様にねだって、おばあさんの口から神々に頼んでもらって、それから「おばあさんからもお話があったと思いますが…」といって自分の口からも神々に祈願するのであって、決してこの神の仲介なしに直接に、神々に対して願い事をするということはなく、一切はこのおばあさんに甘え、たよりきっているのである……」
更科源蔵著 『アイヌの神話』（みやま書房）より
