「寺童」~杉田明十志人形集 第一集~ 16
16「
昔、
奥羽修行遍歴の途中、夕刻、一軒の農家に宿りを願った。しかし、農家の人々は僧の姿を見て
近くの山に、由緒ある寺がある。住職には代々大徳の方が御坐りになる。今の住職も学問の優れた方であったが、去年の春、
翌日、快庵は寺を訪ね、狂僧を諭し、座禅を組ませ、自分の紺染めの頭巾を被らせて帰った。
一年後、再び寺を訪れると、寺は凄まじい荒れ方だった。が、狂僧は床の抜けた縁側に座戦を組み、低い声で呟いていた。
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昔、
奥羽修行遍歴の途中、夕刻、一軒の農家に宿りを願った。しかし、農家の人々は僧の姿を見て
近くの山に、由緒ある寺がある。住職には代々大徳の方が御坐りになる。今の住職も学問の優れた方であったが、去年の春、
翌日、快庵は寺を訪ね、狂僧を諭し、座禅を組ませ、自分の紺染めの頭巾を被らせて帰った。
一年後、再び寺を訪れると、寺は凄まじい荒れ方だった。が、狂僧は床の抜けた縁側に座戦を組み、低い声で呟いていた。