百影堂のブログ

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「座敷童子」~杉田明十志人形集 第一集~ 01

第一集は、最初の個展『彼岸の子供たち』の展示作品をまとめたものです。会場は、埼玉県越生町の古民家ギャラリー『山猫軒』。民話伝説をテーマにした作品展でした。

 

01「座敷童子」 (40㎝ 1992)

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一八 ザシキワラシまた女の児なることあり。同じ山口なる旧家にて山口孫左衛門という家には、童女の神二人いませりということを久しく言い伝えたりしが、或る年同じ村の何某という男、町より帰るとて留場の橋のほとりにて見馴ざる二人のよき娘に逢えり。物思わしき様子にて此方へ来たる。お前たちはどこから来たと問えば、おら山口の孫左衛門がところからきたと答う。これから何処へ行くのかと聞けば、それの村の何某が家にと答う。その何某はやや離れたる村にて、今も立派に暮せる豪農なり。さては孫左衛門が世も末だなと思いしが、それより久しからずして、この家の主従二十幾人、茸の毒に中て一日のうちに死に絶え、七歳の女の子一人を残せしが、その女もまた年老いて子なく、近きころ病みて失せたり。(柳田国男 「遠野物語」より)